1年前は毎日泣いてた。

怖かったし辛かった。何度も死を考えた。


でも、自分で決断して前に進むことができた。

あの時、死ななくてよかったと心から思う。

今は周りの人のおかげで幸せで穏やかな日々が続いてる。

色んな噂がたまに耳に飛び込んでくるけど、もう私には関係ないし興味もない、視界に入ってもなんとも思わなくなった。

私には味方がたくさんついてるし、もう怯える必要もない。

前に進めてよかった。

1年前の私に感謝したい。ありがとう。


今も幸せだけど、これからもっともっと幸せになるために、今の自分を大切にしよう。

うっすら部屋が青白くて、あぁ朝だな、なんてぼんやり思って。私はあえて先輩に背を向けて寝ていたけれど、すぐ後ろで先輩の寝息が聞こえる。身体こそ触れてないけれど、あたたかい人の気配がする。カーテンの隙間から日が差して、きっと外は晴れてるんだろうなって思った。このまま寝返ったら、先輩の寝顔が目の前にあるんだろう。きっと長い睫毛に縁取られた目はとじられていて、整った鼻ときれいな肌にうっとりとしてしまうんだろうな。すぐ後ろにいるのに、振り向いたら愛しさが溢れてしまうから、私は妄想で先輩の輪郭を描くことしかできない。時計の規則的なリズムと、カーテンの隙間の朝日できらきら光る埃、私の後ろの静かな寝息。

きっとこんな孤独な朝ってない。

きっとこの人は手に入らない。

あの日のこと。

私の上に先輩の端整な顔があって、私たちは裸で。私に覆い被さった先輩が腰を沈めたときに重くて熱くて堪らない感覚が迫り上がってきた。動かないまま確かめ合うように唇をあわせて、もうだめ、と私が零すと少しだけ眉を顰めて再び私に落ちてきた。視界が揺れて、境界線が分からなくなる。滲んで、ぼやけて、天井の白さと先輩の肌の青白さが混ざる。ぼやけた視界の中で先輩と目が合う。切れ長のつめたい瞳。私の好きな瞳。稚拙な独占欲が私を侵食する。同時に私に欲情してるこのひとが、愛しくてとてもばかな生き物に思えた。

相変わらず視界は揺れていて、滲んだ世界の向こうに先輩が見える。もうどんな表情をしているか分からない。知りたくもない。身体を重ねて誰よりも近くにいるはずなのに、誰よりも遠く感じるのはなぜだろう。

先輩の肩が一度大きく震えて、それが終わりを迎えたのが分かった。

この男は、きっと私を愛さない。

けれど、私はこの男の隙間にするすると入り込んで、癒着して、甘い蜜を吸い続けたい。愛しながら、罵りながら、憎しみながら、女としてあり続けたい。