2017-02-06 水の美学 うっすらと金黄色(きんいろ)のあたたかなともしびが揺れる。 真夜中、私は本を読む。長野まゆみの、 夜鳴く鳥は夢を見るこの本を読んで、気付かされたことがある。 私のこの形容しがたい懐かしいような、 悲しいような、しかしどこかきらきらしている感情を膨らませるひとつに 水、 という存在があった。どうしようもなく、私は水に惹かれるのだ。静かにたゆたう透明な水。 静謐で、どこまでも碧い水。 漆黒の夜の海のような水。此処からは、少しだけ、 私の話になる。